Q: はじめまして。
Benjamin:
(以下ベン)
どうも。
Q: 先程、BenjaminBrothers(以下、BB)を拝見したのですが、 作品をつくる時はモノクロが基本なんですか? チラシの写真もモノクロをよく使っていますよね。
ベン: モノクロ作品ばかりではないのですが、 頭の中に浮かぶ映像はセピア調で、夢もだいたいモノクロで見ます。
Q: モノクロにこだわりみたいなものはあるんですか?
ベン: こだわりはないんですが、便利なところがあるんです。 モノクロだと生活の臭いとか時代とか国籍とか消せるから。 モノクロだからベンジャミンワールドも成立しやすいと思うんです。 色に限らずあいまいな方が想像力を駆り立てられるし、触発される。 だから普段見る映画も謎が多い映画の方が好きなんです。 何らかを提供される作品よりは、見た後に自分で考える余裕のある映画の方が好きなんです。
Q: BBでは出演者は一言も喋らないし、見ている人によって 印象が違うと思いますが、あえてそうしているんですか?
ベン: 俺の中ではBBはかなり解り安いと思っています。 昔はもっと難解でジグソーパズルみたいなものをつくってたから・・・。 見る側に決定権があるっていうのかなぁ? 登場人物が話さないことで、その登場人物の感情や動揺とか、 内面的なことが動きによって推測されるようなものにしたかったんです。 俺は小さいころから「君は○○な子だ」と決められるのが嫌だったんですが、 映画の登場人物達にもそんな思いはさせてくないんです。 なんか凄く狭い部屋に閉じ込められる思いがするんですよ。
Q: 昔の作品の難解さは、その決めつけられることへの反動からなのですか?
ベン: いや、それとは違って、ただ単に技術的、創造的に未熟だったってことです。 今もまだまだ成長過程やけど。
Q: 作品をつくるとき、物語が先にあるのですか?それともイメージ?
ベン: 先にイメージが浮かぶ、物語はその後です、大抵は。 だいたいそのイメージには人間が2人いたりして、この2人は何しているのかな?って 振り返って物語ができていく。
Q: イメージに登場する人間に近い役者を探すのですか?
ベン: イメージに出てくる人はそこまではっきりしてへんのですよ。 空想の人物でシナリオを形にしていくねんけど、ある程度いったら俳優を探し始める。 いろいろ人にあって、面白いって思ったらその人に決める。 だから撮り始めてからシナリオもどんどん変わっていって、それが面 白いんですね。 窓を開けたら風が吹くように。(笑) シナリオ重視の人もいるけど、俺にはやっぱり人との出会いが重要なポイントなんです。
Q: なるほど。でも変わっていくイメージを形するのは大変ではないですか?
ベン: 一目惚れみたいもんかな? 結局、イメージの中の人間よりも目の前で実際に生きている人間の方が凄いと感じるんです。 役者の本来の部分に触れたときに「ドキッ」っとしますね。 恋愛でもそうなんだけど、いつも違った側面 を感じてドキドキしたいと思っています。
Q: そのドキドキは、恋愛でも役者と監督の関係でも共通 なのですか?
ベン: 俺は女性の裸を見ると欲情して触ってみたいって思うけど、 それと同じように、役者にイメージが湧いてきた時は形にしたいってドキドキしますね。 そういう意味で「ドキドキ」は共通なのかな。 そしてどちらも共通して多いのは「フラれる」ってことかな。(笑)
Q: アーティストが作品を形にするという欲求と、異性への性欲が似ているとはビックリしました。
ベン: 性欲というよりは発情した犬に似てるかな。 ふられるかも?なんて考えてアプローチする犬なんていないように、 うまくいくかな?なんて考えてたら作品なんて作れないと思うんです。 だからある程度、バカにならないと続けていけないですね。
Q: なるほど(笑い)。その発情期の犬に似たエネルギーが作品を形にしていくんですね。作品をつくるために普段からドキドキしようと心掛けているんですか?
ベン: ほとんど自然の欲求ですね。 結婚してても恋はするでしょう。好きな芸能人がいるとか。 それと一緒で無理して探すのじゃなくて、自然と求めていますね。 でもインスピレーションは逃さないように心掛けています。
Q: いつぐらいから制作活動をはじめられたのですか?
ベン: 20代かな?なんでやろ、すごく撮りたっかな。 映画好きだったし。映画館での安らぎ、あれが好きだったな。 これから何かが始まるんだろうってワクワクする感じが。 いつの間にか撮り始めてました。 アダルトビデオ見てたら、実際にセックスしたくなるでしょ。 それと一緒。映画を見てるだけより、自分で作りたくなった。 なんか俺ってめっちゃ単純?ひょっとして。
Q: そうですね。結構...。(笑) 絵を描いたり、物語を書いたりすると自分がすぐに出てしまうと思うのですが、 映画を作っていて、それは気になりませんか。
ベン: 上映時に立ち会うのは嫌ですね。恥ずかしい。 でも、自分をさらけだして、ハダカになるような恥ずかしさはあるけど、 そのことで観た人のハダカを見ることができる。 それが怒りであっても嫌悪感であっても、反応があったら嬉しいですね。 だけどできたら上映には立ち会いたくないです。
Q: 勝手なイメージですが、物をつくる人=感受性が強い。 その感受性が強い人が自分をさらけ出すということは大変だと思うのですが、 どう思われますか。
ベン: 理路整然とできる人もいると思うけど、俺は大変ですね。 ラッシュ(撮影したままの素材)なんて最悪。自己嫌悪の固まりですよ。 それをどうにかこねくりまわして作品にする。 撮影時は楽しいですけどね、俺が客みたいに。
Q: 夜中に書いたラブレターを翌朝見直すと最悪っだったりする感じみたいなものですか。
ベン: そうそう。書いてる時は楽しいけど、客観的に見直すと最悪だったりする。 それを冷静に組み立てるのが、編集作業の鍵かな。 どれを残して、どれを捨てるか。
Q: 最後の質問になるのですが、 以前誰かが「どうして人は物語がなくても生きていけるのに、物語を求めるのでしょう?」 といった質問をしていたのですが、これについてどう思われますか。
ベン: それは人が自分を知りたいって欲求から、物語を求めるのだと思います。 鏡みたいなもんなのかなぁ、物語は。 だから映画はそのときの自分自身を映す鏡みたいなもんだと思います。
Q: 本日はお忙しいところ、ありがとうございました。 作者と作品、また役者の意外な関係性や作品をつくるエネルギーなど いろいろ発見することができました。 また、内村さんの本能的にして繊細な作品づくりを感じることができました。
ベン: いえ、こちらこそ。普段あまり気にしないことを振り返れたような気がします。 ありがとうございました。
 
2002年 5月19日 某所にて




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